映画雑記:『17歳のカルテ』

 

 

 

若き日のアンジェリーナジョリー、そしてウィノナ・ライダーの監督作品。

 

これは実話を元にした作品で原作は、

スザンナ・ケイセン『思春期病棟の少女たち』

 

主人公はウィノナ演じるスザンナ・ケイセン、原作の著者である。

彼女はOD(大量服薬)で病院に搬送され、精神科医

境界性パーソナリティ障害と診断、そのままサナトリウムに入院する。

その施設は彼女と同じ年代の様々な心の病を患った人々が居た。

 

スザンナは戸惑いながらも他の患者たちと心の交流を通わすが…

アンジー演ずるリサに心を許して行く。

しかしリサはこの施設の最も重症な問題児であった。

彼女の病名はなんだろう…触れられている限りでは反社会性人格障害”。

一番厄介なパーソナリティかも知れない。

彼女はあらゆる患者を巻き込み、当然のごとくスザンナをも巻き込んで

施設で徐々に問題を起こしていく…。

しかし肝心のスザンナは、あまり自分の障害を上手く理解できていない。

あるいは受け入れられなかったのかもしれない。

人の心は当然自分に見えないが、自分の心が見えなくなることもある。

 

そんなある日、リサはスザンヌと施設を抜け出し、先に退院していた

ブリタニー・マーフィ演じるデイジーの家に上がり込むのだった。

そして……リサはデイジーの傷を深くえぐってしまう。

気がつくとデイジーはレコードで「End of the world 」をリピート再生させながら

自ら息絶えていた。

このことがきっかけでスザンナはリサとの関係を見つめ直し、

自分の病気にも真摯に向き合っていく。

余談だが奇しくも、この「End of the world 」という曲、

何人もにカヴァーされているが、幼くして、天才と謳われたLena Zavaroni、

そしてカーペンターズのカレンが心の病、摂食障害で亡くなっている。

実に悲しい曲だ。

最近では『進撃の巨人』実写版の挿入歌になっていたので知っている方も多いのでは?

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DVDでは最後にスザンナ・ケイセン本人が解説をしており、

自身の思春期について語っている。そこは少しホッとした瞬間であった。

退院した後、再会した人もいればしなかった人もいるという話だ。

 

大半が病院内での出来事を描いている映画だが、

決して暗くもなく、実にテンポよく展開され

ドラマとしても大変良く出来ていると思う。

役者の割り振り、演技についても申し分なく、考えさせられるが

軽快なシーンもあるので飽きずに観られる映画だ。

 

障害までとはいかなくとも人は、

何かのパーソナリティを抱えて生きているという。

ブログ主の私は自己診断だが”回避性パーソナリティ障害”では?と思っている。

逃げて、逃避しての人生だ。

 

今、モラトリアムな時間を送っている私にはもう一度観たい映画の一つである。

それは現実からやっぱり逃げているから。