映画雑記:『ヘルター・スケルター』

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いささか前に見た映画の感想。(何度も観返してしまってるけど)

公開前からちょっと楽しみにしていて、男友達と劇場に足を運びました。

蜷川実花監督の『さくらん』ではまだ磨かれていなかった鋭さが、

この映画では増していた気がする。

私は岡崎京子さんの未完に終わっている原作は読んでいないので、

映画だけの視点になってしまうが、話そう。

 

キャスティングの沢尻エリカは、当時あまり好きでなかったが

この映画を見てから、彼女の魅力がわかった気がする。(謎だけどw)

とにかくハマリ役なのだ。

蜷川実花監督は仲良しさん俳優をまるっと押し込んできてるにも関わらず、

采配を発揮して各々の役柄をいかんなく光らせていた。

 

主人公”りりこ”は全身を整形したことによって、芸能界のトップまで上り詰め

しかしその整形の後遺症に苦しみ、果てには【天然美女】に世代交代させられる

という悲しい役柄だ。

女性にとって【美しい】ということはどんなに恩恵をもたらすか。

でもその【美しさの恩恵】が失われゆく時、心が壊される様をミステリアスに

かつ、ドラマチックに描き、演じている。

昔、『永遠に美しく』というメリル・ストリープ主演の映画が有ったけれど、

それをもっとサスペンスにした感じといったらわかりやすいか。

 

15禁なために、かなり過激な描写もあり、

一緒に行った男友達とかな~り気まずい空気…というより、

映画館全体がし~ん…と激マズイ雰囲気に包まれたのは今思うと笑えるが、

あのサイケデリックな映像美、映画館の大画面で見られたのは思い出となった。

 ”美”という名前の悪魔にとらわれる女性達の心理を大いに感じた一作であった。