サブカル雑記:『ライチ☆光クラブ』(歌劇、映画、コミック)で思うこと多々。

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ライチ☆光クラブ

この作品、かつて80年代に存在していたアングラ劇団

「東京グランギニョル」のその”舞台”こそがいわゆるオリジナルだと思いこんでいた私が居たが今回、各インタビュー、『残酷歌劇ライチ☆光クラブの感想、

コミックの再読を含めて新しい見解が見えたのでここに書こうと思う。

 

コミック再読の前にまず私は前述の『残酷歌劇 ライチ☆光クラブ(以下、残酷歌劇)

の映像全編を観てみた。

冒頭10分で引き込まれる…振り付けが東京ゲゲゲイのMIKEYこと牧さん!

VOGUEINGを取り入れた役者の一糸乱れぬダンスシーンが

”光☆クラブ”の統率を表現させ、その退廃したディストピア的世界観にもマッチしていた。

そしてセリフ、ドイツ語の出番は少し少ないような気もしたが

古屋氏の漫画版をほぼ完璧に再現している。

そして演者であるゼラ役の中村倫也がとても麗しいのだ。


残酷歌劇『ライチ☆光クラブ』【ゲネプロ】

声を荒らげるシーンでも、その声は聞き取りやすく好感触だ。

初演の※江本純子さん演出の舞台はまだ宣伝映像くらいしか観られていないのだが、

(※ギャグ要素あり、それも本来のフランス由来グランギニョルの姿である)

私は河原氏の演出したこの『残酷歌劇~』がライチの舞台では今一番好きである。

”シリアス”に徹してかつ、華やかな、一見いわゆるグランギニョルと反比例な

『残酷歌劇~』。歌ありダンスあり。見事に河原氏の『ライチ』に昇華させていた。

ネタバレになってしまうが、最後の演出で水が大量に降ってくるシーン。

これも素晴らしく、その中演技をする役者さんたちがより生々しく見えた。

丁度予定が合わずに劇場に足を運べなかったのが無念極まりない。

音楽が和田俊輔だったことも私の心を動かさずを得なかった。

舞台版『千年女優』がとても心に残る舞台でその音楽こそ和田俊輔だったのだ。

話はズレるが両舞台とも再演していただきたい。

キャストが変わっても良い公演となるだろうと期待している。

 

 

 

それと対比する以前の日記にも書いた、映画『ライチ☆光クラブ』。

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DVDを借りて観た当初は、漫画版との相違点に気持ちが行ってしまったり

配役を見ても「商業主義なんだろうなぁ」としか思っていなかった。

確かに、流行りの俳優陣ばかり揃えているが、年齢的には30歳手前の役者たち。

演技にはぬかり無いのだ。

各役者さんのインタビューや内藤瑛亮監督のインタビューを読んでいるうちに

「映画でしか出来ないライチをやる」という言っては難だが、商業主義ながらも実験的な要素が見て取れたのだ。

トーリーが少し省かれてたのは尺の問題なのか説明不足になってしまっていて

残念なところもあるが、今思えばよくやりきったとも思う。

それぞれの役は、オーディションを通じて配役されたというのも好印象だった。

古川雄輝が演ずるゼラも、完全にゼラだった。

物語の鍵を握るジャイボ役は間宮祥太朗

漫画版では口癖の「きゃは」という口癖だが、この映画では

あくまで自然に大げさにならないよう控えめに演じている。

それが余計にジャイボの異常さを際立てていた。

ゼラの死に際が漫画版と違ったりはするが、

これもこれで『ライチ☆光クラブ』なのだ、と。

 

ゼラの言葉を借りて言おう、ライチ☆光クラブとは曖昧で実体のないものなのだ。

多分。

誰かがこれから『ライチ☆光クラブ』を演じたり、撮ったりすれば、

それもその人の「ライチ☆光クラブ」になるのだ。

 

ライチ☆光クラブ』とはそういう作品だと思う。

14歳の儚く、脆く、多感な感情が起こすグランギニョル(残酷劇)。

過去から今現在~未来に通ずる問題を語り継ぐ作品なのであろう。

 

PS:古屋兎丸には感謝。この作品に出会い、もう10年も前だけど

作品を蘇らせてくれて、ありがとうございます。

これは単なるBLモノなんかじゃなくって、

もっと大切な思春期の淡くて切ない何かを思い出させてくれる作品だと私は感じました。

 

ライチ☆光クラブ (f×COMICS)

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